突然、灘崎町の大工の永井さんが事務所に来る。
永井さんとは30年近くの付き合いになり、忘れたころにやって来て「図面描いて」と言われる。長年の付き合いで、それほど図面作成しなくても設計の意図は伝わる。
大工さんに見えず、服装センスも昔から良い永井さん、彼が建築家の感じです

彼は高校を出た後昔気質の棟梁に仕込まれ、30過ぎに大工として独立後、今もって一人大工で、昔流の腕の良い大工工事をする。作業場には木材を買い込み木割から加工する。今ではプレカットが多いが、構造材もほとんど手刻みで行う。デザインも研究熱心で、匠の技を生かして楽しまれながら造る。
今日は、かねてより施工していた、玉野のH邸が完成したとのことで、写真を持ってくる。17年5月に私が設計しましたが、約10ヶ月少しかかって完成したとのこと。何分昔から人任せは嫌いで、大きな住宅でも一人で大工工事を手を抜かずするので、工事期間はかかる。

天井の松丸太はチョウナで削り出した後、カンナで丸く整えたそうです。

和風ながら、造作材はナラ材を安く購入して、使用個所に応じて切り割って使うらしい。

梁材は私が紹介した製材所の松の梁を使う。荒引きから後すべて自分で手カンナで削る。最近の若い大工は良い道具を持っているが、カンナの研ぎ方を知らないから木がまともに削れないと言う。この現場では若い大工が教えをこうて手伝いに来たらしい。

彼の手によれば、こんな水屋もお手の物、気が向けばテレビ台や食卓テーブルも制作してしまう。棚類の受け木も彫り加工する。
展開図など詳細に書かなくても、出来上がりは図面以上になる。雰囲気は写真を見せれば伝わる。通常ではありえないことである。

これから、数年待ってもらっている住宅のリフォーム現場に行くとのこと。
彼に頼むには、手が空くのを辛抱強く待つしかない。故に私の仕事も頼めない。
これから後何作できるか?後輩の育成と、腕の生かせる工事をされることを期待する。
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